来年1月からスタートする“マイナンバー”の制度。聞いたことはあるけれど、内容までは知らないという人も多いようです。実はマイナンバーが必要なのは、役所で書類をもらうときだけではありません。納税や健康保険の加入など、あらゆる手続きで必要になり、勤務先にも提出します。マイナンバーを知らなければ、給料をもらえなくなるかもしれないのです。
ニュースなどで耳にする機会が増えてきた"マイナンバー"という言葉。しかし、内閣府が2015年2月に発表した調査結果によると、「あなたは,マイナンバー制度について,知っていましたか。この中から1つだけお答えください。」の質問に対する回答で、「内容まで知っていた」を選んだ人は全体の28.3%でした。実は約7割の人がどんな制度なのか知らないままに、来年1月からのスタートを迎えそうなのです。
内閣府政府広報室調査『「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査」の概要』より
<参考資料>
PDF:「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査」の概要
"役所で書類を取るのが簡単になるんでしょ"くらいに思われる方もいるかもしれません。しかし、実はマイナンバーは給与の支払いから各種免許まで、あらゆるものを関連付けていく仕組みなのです。マイナンバーを知らなければ、来年から給料をもらえなくなるかもしれないのです!
まずは、そもそもマイナンバーとは何かについて、確認しておきましょう。マイナンバー制度は、2016年1月からスタートする、「社会保障と税の共通番号制度」のこと。コンピューターを使って行政事務を効率化することが目的の仕組みです。
この番号は納税、各種免許、犯罪前科、金融口座、親族関係などの情報と紐付けされます。今年10月には、住民票を持つ国民全員に12桁のマイナンバーが書かれた「通知カード」が手元に届くので、自分の番号を知ることができます。そしてこの番号は、一生変わらず使い続けることになります。
マイナンバーのメリットは、行政機関における手続きが簡単になり、効率化できることです。災害時の迅速な支援にも活用することが期待されています。そして、所得を正確に把握できるようになるので、社会保障や税の給付と負担の公平性が図れます。言い方を変えれば、税金の取りっぱぐれをなくすことができるのです。
こうして書くと、役所とのやりとりだけで必要な番号だと思われるかもしれません。しかし、マイナンバーは勤務先の民間企業にも提出する必要があります。給与から源泉徴収しての納税や、健康保険、厚生年金の加入手続きでもマイナンバーが必要になるからです。つまり、マイナンバーを知らなければ、これからは給料を支払ってもらえなくなります。そして企業は、中小零細企業であっても、給与システムを見直す必要にせまられているのです。
そんなに急に言われても!と対応に困る企業も出てくるかもしれません。マイナンバー導入に対するソリューションを提供する事業者もあります。迅速かつ安全な対応が必要なのです。
[例]富士通マーケティングの「マイナンバー法」対応ソリューション
行政の仕組みを効率化できるのはいいとしても、心配もあります。例えば、システムへのアクセス権限を持つ人が、個人のマイナンバーを知れば、あらゆる情報が取り出されてしまうのではないでしょうか?
目的以外のマイナンバーの提供や扱いは、禁止されています。もし、他人のマイナンバーを不正に入手したり、取得した個人情報を他者に提供したりすると、処罰の対象になります。また、情報は共通データベースで一括管理されるわけではなく、各行政機関で分割管理されています。そのため、情報を芋づる式にまとめて取り出すことはできない仕組みになっています。
また、2017年1月からは、自分の情報が、いつどのように利用されたのか知ることができる「情報提供等記録開示システム」もスタートします。これにより、不正な利用に気づくことができるのです。
さらに、内閣官房では、マイナンバーの仕組みやよくある質問への回答を掲載した、サイトも用意するなどして周知を進めています。ウサギのキャラクター「マイナちゃん」が案内してくれます。
でも、ここに書かれていない疑問も出てきます。例えば、副業をしていると、会社にばれてしまうかもしれません。多くの企業は、給与から地方税を天引きして、社員が居住する市区町村に納めています。マイナンバーによって、所得がすべて紐付けられれば、副業のぶん、地方税も上がります。そうなれば、会社の経理部は副業の存在を疑うことになるでしょう。
そうしたことまで考えると、マイナンバーがはじまることでちょっと窮屈なことが起こるかもしれません。また、安全性を含めて賛否両論の意見もいまだに多くあります。しかし、来年1月には、もう"待ったなし"でスタートすることが決まっています。国民全員がメリット/デメリットについて理解しておく必要がありますし、企業は早急な対応が求められているのです。

1970年山口県生まれ。1997年に株式会社ジャムハウスを設立。同社の代表取締役として、IT系、教育系書籍の制作、出版を行う。










