CAD(Computer-Aided Design)は、製図を必要とする製造企業にとって欠かせない存在であり、様々な技術革新によってさらなる進化を遂げています。
このコラムでは、最新のCADソフトウェアでどのようなことが可能となったのかを紹介します。また、今日の製造現場でCADソフトウェアに求められていることや、導入検討時のポイントを解説します。
「CAD」という概念が世に登場してから、およそ半世紀が経過しました。当初は、多額の導入コストとハイスペックなメインフレームが必要であることから、世界でも一部のエンタープライズしか利用できませんでした。しかし、今日では設計段階の製図を中心に中小企業を含めて世界中の製造企業が利用しています。
では、半世紀の時を経てCADソフトウェアはどのように進化をしたのでしょうか?
中堅・大手企業を中心に、3Dでの製図が可能な3DCADソフトウェアの導入が進みました。従来の2DCADと比べて3DCADは図面の内容を視覚的に理解しやすいことが、その大きなメリットです。3DCADデータを軽量化する技術も進歩し、一般的なPC上でもストレスなく動作する3DCADソフトウェアも多くなっています。
また、レーザースキャナで収集した点群データをCAD化することによって、生産設備開発や生産設備の入れ替えで使用する図面を作成するといった活用法も広まりつつあります。
最新のCADソフトウェアのなかには、クラウド上でCADデータを共有できる機能を搭載したものも登場しています。
複数の関係者が同じCADデータを容易に閲覧・編集できるため情報共有が促進され、CADデータやドキュメント作成が円滑に進むようになりました。
このところ、WebブラウザベースのCADソフトウェアが目立ちます。オンプレミス型とは異なり、タブレットやスマートフォン上から製図できるものも登場しており、利便性が一段と向上しています。
「コンピュータ支援設計」と訳されている通り、最新のCADソフトウェアは設計や製図を支援する機能が強化されています。
最近では、タブレット上でペンタブを使用して直感的に製図できるものも登場しています。また、製図したCADデータをもとにWord形式やExcel形式のドキュメントを自動的に出力できるCADソフトウェアも存在します。さらに、「AutoCAD」のようにPDFファイルから、ジオメトリ、TrueType文字、ラスターイメージを読み込んだり、AutoCADオブジェクトに変換して作成中の図面でアンダーレイとして使用したりできるものもあります。
このような進化を遂げた一方で、ほかのテクノロジーと同様にCADソフトウェアは今なお発展途上にあります。
製造現場でさらなる業務効率化やリードタイム短縮が求められるなかで、CADソフトウェアには次のような要素が求められるようになっています。
業務効率化やリードタイム短縮を実現するためには、製図や関連ドキュメントの作成をこれまで以上に自動化・効率化する必要があります。直感的に利用できるUIやより高速な処理速度、関連するドキュメントの自動作成といった要素へのニーズが、今後さらに高まっていくでしょう。
大規模な製品の図面を作成した場合、CADデータの容量が膨れ上がります。容量が膨れ上がると、端末上での処理速度が遅くなり、図面の作成や修正、検証といった作業に支障を来します。そのため、CADデータの容量をこれまでよりも軽量化できる仕組みが求められています。
――前述の通り、最近ではこのようなCADソフトウェアも登場しています。そして、今後はこのような「いつでも、どこでも利用できる」というのがCADソフトウェアの1つの在り方になっていくことでしょう。
そこで重要となるのが、ITネットワークとの連携です。クラウド上での情報共有やWebブラウザ上での利用、タブレットへの対応はいずれもITネットワークとの連携が無ければ成し得ません。
製造業界では、生産拠点をグローバル化することは当たり前のことになりました。国内を見ても、最近では自由な働き方を求めてフリーランスや副業としてCADを使用し製図するエンジニアも多くなっています。
こうした時代の流れの中でビジネスを拡大するには、CADソフトウェアとITネットワークとの連携を考え、「いつでも、どこでも利用できる」CADソフトウェアを活用し国内を含め、世界の様々な国にいる人々と協業していくことが必要と言えるでしょう。
つづいて、実際にCADソフトウェアを導入する場合に検討すべき3つのポイントを紹介します。
CADソフトウェアは、専門型と汎用型という大きく2つの種類に分類できます。専門型は機械や建築といった特定の分野の製図をしやすくしたもので、汎用型は様々な分野の製図に対応したものを指します。
例えば、「ICAD/SX」は機械装置に特化した専門型のCADソフトウェアです。一方で、「AutoCAD」は汎用型に含まれます。
専門型は、利用に当たって習熟すべき要素は少ないものの、導入コストは比較的高額となります。反対に、汎用型は利用に当たって習熟すべき要素が多いものの、導入コストは比較的低額です。
また、3DCADの場合、自動車や航空機等の意匠性が強い製品の設計で利用されることの多いハイエンドCADと、家電やOA製品等の量産品の設計で利用されることの多いミッドレンジCADがあります。
一口にCADソフトウェアといってもこのような違いがあるため、導入に当たっては「どのような製品のデザインを作りたいか」を考慮して検討する必要があります。こうした検討を疎かにしてしまうと、実際に製造する製品や建造する建築物には適さないCADソフトウェアを導入する結果となり、不必要なコストの発生や業務効率の低下といった事態に陥ってしまう可能性もあります。
CADソフトウェアの導入を検討する場合には、TCO(Total Cost of Ownership)の算出も重要になります。導入コストはもちろん、導入後の運用コストや、ユーザとなる技術者に対する教育コストも考慮しなければなりません。また、導入に際してPCやネットワーク機器といった関連機器をリプレイスする必要に迫られる可能性もあります。
TCOを算出し、導入後に想定される業務効率や生産性の向上も加味にして費用対効果を見極めながら、採用するCADソフトウェアを選定しましょう。
DWGや、DXF、IGES、SIMAなど、CADデータには様々な形式が存在します。そのため、導入にあたってはどのデータ形式を採用しているCADソフトウェアを導入するのかを検討する必要があります。取引先企業の採用しているデータ形式や業界標準を考慮し、CADソフトウェアを選定しましょう。
以上3つのポイントを検討することに加えて重要となるのが、「ユーザとなる技術者の生産性を高めてくれるかどうか」という視点です。「コンピュータ支援設計」という名の通りに、そのCADソフトウェアが技術者の業務を適切に支援し生産性を高めてくれるかどうかを見極めなければなりません。
そのため、CADソフトウェアの導入に当たっては、技術者にベンダーの行うセミナーでのデモやトライアルで実際の使用感を試してもらいながら、その意見を収集することが必要となるでしょう。

株式会社ネクストアド B2Bコンテンツマネージャー。
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